会社法界隈で最近の流行は、反対株主の買取請求権の問題であるらしい。
M&A等の場面において、それに反対する株主は会社に株式を買い取るよう請求する権利があると法律で定められているが、問題になるのは、言ってしまえばただ一点、「いくらで買うか」である。
当然のことながら、株主は少しでも高く買ってもらいたいし、会社は少しでも安く買いたいわけで、利害の相反がここにある。商法から会社法に変わり、この部分における定めも変わったこともあり、今流行りの問題であるようだ。
でも実際の場面でそれは、シナジー効果をどう評価するかになってくると思われる。
で、昔ちょっと合併しかけたことがある会社にいるささやかな経験で考えると、そういうM&Aの場面では、往々にして「シナジー効果」というプラスの面にしか目が行かなくなるような気がしている。
M&Aによるメリットばかりが強調され、そしてそれはスケールメリットだとか管理部門の統合だとか幅広い品揃えの実現だとか、どちらかというと計算しやすいものであり、だから(そのM&Aを進める当事者は)シナジー面しか見えなくなってくるのではなかろうか。
でも、一歩引いて考えると、果たしてシナジー効果ばかりなのだろうかという疑念が湧いてくるのである。
ここで喩えを思い切り卑近にして、NABEO界隈でM&Aが行われたとしてみる。
なお、以下で団体名として表すアルファベット表記は、ランダムに生成したものであり、特定の団体を想定したものではないことをあらかじめお断りしておく。
具体例として、PCとSWが合併することになったという場合を挙げる。
[シナジー効果]
・合併によるスケールメリットから、より大きな音が出せるようになる。
・音域の幅が格段に拡がる。
・互いにない楽器を補うことによる演奏曲目の拡大。特にガブリエリなど。
・事務手続きの統合による運営業務の効率化。
・固定費負担の削減(集約による練習場代やホール代の節減)
新聞を賑わすM&Aで、フィナンシャル・アドバイザーやコンサルタントが入って作るプランでも、けっこうこんな(単純な)感じでシナジー効果だと言っていることが多いような気がする。東京と熊本を往復する交通費などは誤差のうちとなる(^^)。
しかし、PCとSWが合わさってやるガブリエリって、面白いと思うだろうか。
ガブリエリでなくたって、合わさってやる音楽が、一発芸としてなら興味津々だが、恒常的に今以上の面白さを提供していくことができるのだろうか。
事務手続きの苦手なPCの事務を、SWの番頭さんが一手に仕切ってくれたとして、それを「業務の効率化」と称えていいのだろうか。
つまり、合併することによって失われてしまうものはないのか、ということである。
直感的に思うのだが、たぶん失われてしまうものはある。
理論的には、それ以上にシナジー効果が評価されるのでM&Aが遂行されるわけだが、その結果として失われるもっとも大きいことは、不完全さやアンバランスに依拠している「面白さ」なのではなかろうか。
そして、実はその「面白さ」こそがレゾンデートルだったりしないのだろうか。
ところでM&Aは往々にして事業の整理を伴い、不要な部門は切り捨てられることもある。
PCとSWの合併の場合にも、そのような部門はあるわけで、それがN口という人間であることは想像に難くはあるまい。
繰り返しになるが、以上のシミュレーションにおいてイニシャルで示した団体名はあくまでランダムの架空のものである。






ところでこの











